栗園醫訓五十七則 解説(7)
一、鍼灸は輔治の要術なり。疾尤も其の治効を明かにすべし。
(按ずるに鍼は瀉に属し、灸は補に属す。・・・)
鍼灸のことを言ってます。
輔は助けるとか補佐するような意味でしょうから、漢方薬だけじゃなくて鍼灸をうまく取り入れて治療の補助としなさい、研究しなさいと。
按ずるに・・・以下の文は長いので省略しています。
『鍼は瀉に属し』と言いますが、鍼にも瀉の刺し方、補の刺し方がありますよね。
多分、鍼は補瀉の用法があるといっても、その瀉法は非常に峻烈で効果が強い、よって「鍼の瀉法は鋭敏である」と言いたかったのではと思います。
灸は温補ですからまず安全です。
人間は瀉には敏感です。ですから、鍼の瀉を間違って行うと大変ですから、鍼は免許が要ります。
人間は温補には鈍感なので、灸を間違ってやっても大きなトラブルは起こしませんから、お灸は民間療法として自分でも出来るのですね。
本来、鍼もお灸も湯液もぜんぶあって漢方です。
今の漢方薬業界と鍼灸業界はあまり交流がないのですが、私は鍼灸の先生のお話を伺って大いに参考になるところがあります。
一、諸病に不治の証、不順の脈と云ふことあり。心得べし。
以前に出てきた訓で、順・険・逆について言ってましたね。ここでもう一度、注意を喚起しています。
一、診定しがたき病人に妄に薬を施すべからず。
判断に決め手がないときはみだりに「これでも飲んで…」とはやるなと。
うちの薬局にご相談に来られても、お薬を出さないでお帰りいただいた患者さんもいますし、漢方薬の絞込みをするのに数日のお時間を頂戴して検討させていただく場合もあります。
一、小児に専疾あり、亦専薬を施すべからず。
(胎毒、解顱、驚癇、馬脾の類これなり。薬も亦、巴豆、馬明、鼹鼠の類、大人に用ゆるときは効を異にするものあり。)
小児に専疾あり。小児には小児の病気があるってことですよね。
亦専薬を施すべからず。
・・・うーん、なんでしょう。長谷川弥人先生の解説を参考にすると、薬に関しては特殊なものもあるし、(専疾にこだわらずに)共通して使えるものもある。ということでしょうか。
解ったような、解らないような。
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解説(8)につづく